屋内塵性ダニ類が発生・増殖する好適な条件として、次の3つが上げられます。
(1)適当な食物があること
(2)温度環境が適当であること
(3)湿度環境が適度であること
そのような条件が当てはまる例として、「共働きのため、日中はいつも閉め切られている家屋」とか「建築後まだ日が浅いため、まだよく乾いていないコンクリート壁のある畳の間」「狭い空間内に風呂、湯沸かし、台所のような湿度を上昇させるものが多くある住居」「気密度のよいアルミサッシのため、換気の悪い部屋」など、周りをちょっと見渡しただけで幾つも見当たります。
 
 
種類 特長と生活
屋内塵性ダニの70〜90%を占めるのが、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニで、ジュータンや寝具等に多く居ます。大発生した場合、これらのダニの成虫、死骸、脱皮殻、糞などが、吸入アレルゲンとして種々のアレルギー疾患の原因となっていますが、人を刺したりすることはありません。体長は0.3mm内外の小さなダニで、餌は人のフケや食べ物の残渣などです。最適の条件は、温度25℃、 湿度65 〜75%RHです。
胴の長さが 0.3〜0.4mm の小型のダニで、高温多湿の時に食品や畳に大発生して、しばしば問題になりますが、このダニも人を刺すことはありません。発育するための最適条件は、温度が25〜28℃、 湿度75 〜95%RHです。
刺咬症の主な原因の一つとなっているものは、フトツメダニ、ホソツメダニ、クワガタツメダニなどがあります。ミナミツメダニというツメダニは胴の長さは0.5〜0.9mmの中型のダニで、他のダニやチャタテムシなどを捕食しています。したがって、餌になるダニが大発生するとツメダニの発生も多くなり、問題を起こします。
 
   
 
1.刺される害
 ケナガコナダニやチャタテムシが大発生すると、それを食べるツメダニ類がやって来て、それが間違って人間の皮膚を刺したり、体液を吸ったりします。痒みを覚え、皮膚炎を起こさせたりします。

2.アレルギーの原因となる場合
 最もアレルギーの原因となっているダニは、ヤケヒョウヒダニです。1980年に当時医科研の石井先生が発表されたものによると、鼻アレルギー患者に対して行った皮内反応テストで実に 91.3%の人がプラスと出ていて、スギ花粉の4.3%に比べて極めて高い率を示しています。コナヒョウダニも同じ位の相関があります。また同じアレルギー症状である気管支喘息と大きな関連があることが立証されていてます。

 
 
 
 屋内塵性ダニの住める環境はどこの家庭にでもあり、一匹もいなくしようとすると、人間も住めなくなってしまいます。このダニ類は数が少ない場合には問題にならないわけですから、全滅させると云うのではなく、増殖させないということを基本に対策をたてることが重要です。つまり、ダニにとって好適な餌、温度、湿度の3つの条件を与えないようにしながら殺ダニを考えるという、両面作戦が必要です。

1.予 防
(1)掃除を毎日念入りに行う。
(2)室内の換気を良くし、多湿にならないようにする。

2.防除法

(1)大掃除をする。その際、畳カーペット等を直射日光下で5時間以上干す。但し、夕方になると再び吸湿するので、早目に取り込む。
(2)天日に干した後の畳の裏面、床面、敷き合わせ部分に、油剤または粉剤を散布する。また防虫紙を敷いたり、紙を敷いて油剤を散布するのも良い。
(3)大掃除や天日干しが不可能な場合は、フトン乾燥車を頼み、過熱処理する。
(4)薬剤の撒けない畳の表面や家具の後ろのような場所のために、煙霧処理を行う。

3.殺虫剤の役割と注意
(1)殺虫剤は大量に発生した時に使用するのを原則とする。
(2)出来るだけ他の対策と併用する。
(3)安全性の面から、人の直接触れる場所への散布を避ける。
(4)ダニの種類によっては、殺虫剤の効果が異なるので、一つの薬剤で効き目の無い時は、他の別の系統の薬剤を使用してみる。
(5)湿度はダニの増殖の第一要因なので、水で希釈する乳剤は止めて、油剤、エアゾール、粉剤を使用する。
 
 
all right reserved by HIIAJ コピーライト サイトマップ