トコジラミ
 
シラミは宿主を特定していて、犬のシラミが人に寄生したりすることはありません。
種類 特長と生活

人を宿主とするシラミのうち、コロモジラミとアタマジラミは形態的に殆ど区別がつきません。しかし生態的には明らかに異なった行動をとります。成虫の体長は2〜4mmで、アタマジラミの方がやや大きい程度です。産卵から孵化までが6〜10日、幼虫は1〜2週間の間に3回脱皮して成虫になりますが、無変態ですから形は殆ど変わりません。成虫は交尾した後、産卵を始めます。約15秒に1個づつ、1本の毛や繊維に根元をセメント様の物質で固着して、5〜15個産卵します。一生には 200〜250 個産むと言われています。1世代は3週間で、成虫の寿命は1〜1.5 ヵ月、高温多湿を嫌うので、盛夏には少なく冬に多いといわれています。最適温度は34 ℃で、この温度が人の体表近くの温度でもあります。吸血は日に2度行いコロモジラミは衣服に覆われた部分の皮膚から、アタマジラミは頭の皮膚から吸血します。光に対しては負の趨向性があります。コロモジラミは不潔の環境下で衣服などに付いて移り、アタマジラミは人と人との接触によって移ります。
アタマジラミのことを間違ってケジラミと言う人がいますが、ケジラミは全く違った形をしています。英語でCrab louse(カニジラミ)というように、蟹のような形をしていて、習性も違っています。脂気の無い縮れた毛の生えている場所、通常陰部に生息し、時によって、脇毛、足の毛、胸毛、眉毛などにもつきます。通常、人から離れないので、移る場合は接触によって移るとされていますが、沢山いる時は、寝具等に落ちたものや、浴場で人から離れたものが移ることもあります。前脚は細いのですが、中脚と後脚が太く大きく発達していて、毛をしっかり掴むのに適した形をしています。1日に数回吸血をします。刺された後は青斑が残り、著しい痒みを感じます。卵は1日に2〜3個、陰毛等に産みつけられます。1世代は約1ヵ月です。
 
   
 
1.刺咬による害
 吸血された箇所は激しい痒みを感じ、1週間ぐらい治癒しません。また、掻いたところが化膿することもあります。

2.感染症の媒介
 発疹チフスの病原体であるリケッチャは、患者の血を吸ったコロモジラミの消化管内で増殖し、糞と一緒に体外に出て来ます。その病原体は掻き傷から他の人の体内に侵入し、1〜3週間で頭痛、高熱の症状が現れ、それから4〜5日すると発疹が出て来ます。昔は死亡率10〜30%の大変な感染症でしたが、現在は抗生物質がありますので、殆ど治癒します。
 
   
 
 シラミの防除法には、物理的方法と薬剤による方法とがあります。物理的方法は、アタマジラミの場合は洗髪と櫛によるものですが、清潔という点では重要ですが、あまり有効とは言えません。コロモジラミは衣服の縫い目に潜り込んでいますので、熱湯消毒が有効です。薬剤による防除には、寄生している人に直接処理することと、その人から脱落したシラミを予防的に処理することとを併用します。

1.直接処理
 「フェノトリン粉剤」を、頭髪には1回につき7g程度、陰毛には2g程度、1日1回、2日間隔3〜4回繰り返して散布します。10分以内に50%仰転し、2時間そのままにしておくと駆除できます。
 または、「フェノトリン シャンプー」を、シラミが寄生している頭髪又は陰毛を水又はぬるま湯で予め濡らし、頭髪には10〜20ml程度、陰毛には3〜5ml程度を毛の生え際に充分行き渡るように、又全体に均等になるようにシャンプーします。シャンプー後5分間放置した後、水又はぬるま湯で充分洗い流し、この操作を1日1回、3日に1度ずつ(2日置きに)3〜4回繰り返します。

2.予防処理
 脱衣場、ロッカー、休憩室、仮眠室などの、シラミの成虫が脱落し易い場所に有機リン系殺虫剤又はピレスロイド系殺虫剤をゴキブリ駆除の要領で残留処理します。
 
 
all right reserved by HIIAJ コピーライト サイトマップ